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「忘己利他」の精神で、
群馬の地盤を調査する

Soil Labo 株式会社
業務執行役員

高橋 慎二

2011年、gunmajiban 高橋技研を創業。2015年に株式会社ぐんま地盤設立、代表取締役就任。2020年 にSoil Labo 株式会社に入社、業務執行役員に就任、現在に至る。

https://www.soil-cafe.com/

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「忘己利他」の精神で、群馬の地盤を調査する

Soil Labo 株式会社 業務執行役員

高橋 慎二

Takahashi Shinji_プロフィール画像

2011年、gunmajiban 高橋技研を創業。2015年に株式会社ぐんま地盤設立、代表取締役就任。2020年 にSoil Labo 株式会社に入社、業務執行役員に就任、現在に至る。

https://www.soil-cafe.com/

群馬の土に魅せられて

 私は現在、soil labo株式会社の業務執行役員を務めています。2019年に組織体制を改編した当社は、群馬県を拠点に22年間地盤に関する研究、調査、改良の専門家として活動を続けております。元々は「Gunma jiban 高橋技研」としてスタートしており、現在では土に関する全般的な研究やコンサルティング業務も行っています。また2017年からはSDGs活動に注力し、5R(リデュース、リユース、リペア、リサイクル、リフューズ)という環境に配慮した取り組みも進めています。

 創業のきっかけは、25歳の時に知人から土の研究の世界に誘われたことでした。土に触れるたびにその奥深さに引き込まれ、アルバイトとして経験を積みながら知識を広げました。それから飲食店やスポーツジムなどの運営といった経験を経て、33歳で独立を決意し、そこから現在に至ります。

Takahashi Shinji_工事

まるでクルーザーからゴムボートへ…V字回復への道のり

 私が創業して2年目、消費税の増税が追い風となり一時的に会社は発展しましたが、3年目には需要の前倒しによる反動で事業存続の危機に直面しました。数名の社員が離職し、私ともう一名のスタッフだけが残りました。まるで豪華なクルーザーが突如ゴムボートになり、海の真ん中にいるような状況でした。本当にあのときはキツかった…(笑)。でもその逆境の中で「現状維持は退歩」という信念を強く持ち、未来に対してポジティブに行動することが重要だと気づきました。

 その頃から、私は「イノベーション」を意識し始めました。既存のサービスが縮小した際には、すぐに新しい柱となるサービスを模索し、市場に投入することが求められました。後ろをふり返らず、目の前のパラダイムシフトを目指してひたすらに走り続けました。その結果、事業はV字回復を遂げ、技術革新を実現することができました。今では当時のスタッフとランチをしながら「あの時は本当に大変だったね」と笑い合うことができています。

Takahashi Shinji_道路工事

「自然と調和した発展」を実現するために

 現在、私はバイオフィリア事業にも注力しています。これは、1980年代に提唱された「人は生まれつき自然や植物との結びつきを好む」という仮説に基づき、残土を再利用した緑化計画を進めるものです。この取り組みは、地域社会との共生や環境への配慮が求められる現代において、非常に重要な役割を果たすと考えています。

 また当社としては「ちょっと先の未来を考える」ことを掲げています。具体的には、地盤技術を活用した新しい価値の創造です。研究技術を活かし、提供するサービスの価値を高め、収益を向上させ、さらなる研究資金を得ることを目指しています。しかし創業当時からのMETHOD(メソッド:方法)は、当社の地盤業務を続けていくうえでこれからも忠実に守っていくつもりです。

 群馬県という地域で事業を展開する中で、私は土の研究が多種多様な分野に繋がっていることを実感しています。まだまだ多くの可能性が眠っており、その価値を引き出すために、今後も新たな挑戦を続けていきたいと考えています。人生の約半分の時間を土の研究に費やしてきましたが、土に関係する事象は多種多様でありまだほんの一握りに過ぎないと、つくづく感じております。今後も研究活動を要とし、そこから扇のように新たな価値を創造していくのが私の目標です。

 この地域での事業活動を通じて、SDGsの目標である「つくる責任、使う責任」や「海の豊かさを守る」といったビジョンを実現し、群馬県の自然環境と調和した発展を目指しています。

Takahashi Shinji_工事風景