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群馬発・日本のモビリティを支える
タイヤ専門商社4代目の挑戦
株式会社ニッタタイヤ
代表取締役
須藤 剛志
群馬県太田市出身。1998年 東京国際大学を卒業後、イギリスとカナダで海外生活を送り、2000年に帰国した際は海外経験を活かすことのできる都内の商社に就職。発展途上国の経済発展につながる産業用設備の海外輸出などの貿易業務に従事。2004年には家業であり先代が創業した株式会社ニッタタイヤに入社。貿易商社でのノウハウを活かした新規事業を立ち上げるなど新たな販路拡大を行う。2011年、株式会社ニッタタイヤ代表取締役に就任し現在に至る。
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群馬発・日本のモビリティを支えるタイヤ専門商社4代目の挑戦
株式会社ニッタタイヤ 代表取締役
須藤 剛志
群馬県太田市出身。1998年 東京国際大学を卒業後、イギリスとカナダで海外生活を送り、2000年に帰国した際は海外経験を活かすことのできる都内の商社に就職。発展途上国の経済発展につながる産業用設備の海外輸出などの貿易業務に従事。2004年には家業であり先代が創業した株式会社ニッタタイヤに入社。貿易商社でのノウハウを活かした新規事業を立ち上げるなど新たな販路拡大を行う。2011年、株式会社ニッタタイヤ代表取締役に就任し現在に至る。
モビリティ革命を支える「タイヤ」をビジネスに
当社は独立系のタイヤ専門商社として、現在21か所の支店を北海道から愛知県までの東日本エリアに構えています。国内外を問わず多種多様なタイヤメーカー様と永きにわたる取引実績があり、現在は各種法人様向けにタイヤの卸売販売を主体に営業活動を行っております。一見タイヤは黒くて丸い輪にしか見えず「違い」は判別しにくい商品です。しかしながら、メーカーによる製品特性や価格戦略に大きな違いがあり、それら幅広い商品知識を元にお客様のご予算・ご要望に合わせた最適なタイヤをご提案できるのが私たちの大きな強みであります。
そんな私たちニッタタイヤのはじまりは、創業者でもある曽祖父・須藤彌七郎さんの「飽くなき好奇心」にあります。旧新田郡出身の彼は、伊勢崎の米屋に奉公した後、1909年の朝鮮併合時に朝鮮に渡り、空の石油缶を再利用して大豆粕の販売に着手しビジネスを軌道にのせます。帰国後は地元新田郡で3年間ほど製麵業を営みますが、事業は家族に任せ、再び地元を離れ東京に出向きます。そこで当時、人の大切な移動手段であった「自転車」の普及と発展性を確信し、その重要な部品である「タイヤ」に狙いを定め、1915年に東京上野で起業しゴム業界に参入。新田ゴム商会を創業します。1947年には2代目・祖父の須藤幹夫が新田ゴムの屋号にて群馬県太田市でタイヤ販売を開始。1977年には父・須藤彌弌が事業を法人化し、株式会社ニッタタイヤが発足しました。
このように創業時は自転車やリヤカーなどの二輪車用タイヤの取り扱いから始まり、1960年代以降は自動車が一般家庭にも普及していく中、四輪車用タイヤに主力商品を切り替え、現在は大型車両用タイヤの取り扱いまで「タイヤ」という幅広い商品の販売とメンテナンスサービスを総合的に行ってきました。
100年に一度の変革期を迎える自動車産業とタイヤ
今、自動車産業は100年に一度の変革期を迎えています。一般的に言われている自動車のEV化やライドシェアサービスの普及、自動運転技術の向上など、どれもタイヤが無くなるような話ではないため、私たちタイヤ専門商社に大きな影響があるようには見えないかもしれません。しかしながら、自動車を所有する主体が個人ばかりではなく、各種法人や団体へと変化していくことも見込まれるため、タイヤ関連サービスを提供するお客様も多様化していくということです。
そのため、タイヤという商品の販売だけでなく、付帯するメンテナンスサービスの強化を図っています。例えば、脱輪事故を防ぐため、タイヤ・ホイールを車両に装着する際に、締め付けるナットのトルク値をデータ化して管理する取り組みや、訪問先でタイヤ交換を効率的に行うため、自社で出張サービスカーの開発を行い、サービス体制の拡充に努めています。また、その開発した出張サービスカー自体を他のタイヤ整備会社様にもご案内し、ご活用いただけるような新規事業も立ち上げました。
しかし、先を見据えた取り組みはいつも上手くゆくとは限りません。当社は1980年代頃に技術会社と提携し、粉塵が発生しない新しいスパイクタイヤを発売し、全国の降雪エリアを中心に販路を広げる活動を行いましたが、スパイクタイヤの代替品であるスタッドレスタイヤが急速に普及してきたため、残念ながら当社の新しいスパイクタイヤはマーケットに浸透できず撤退するといった失敗を経験しました。しかしながら、当時の広域にわたる営業活動の努力により、結果的には様々な企業様との新規取引の機会をを増やすことに繋がり、現在の営業エリア拡大の礎になったという副産物を手にしております。
このように、変革期こそ失敗を恐れず挑戦していくことが大切であり、過去の経験からも失敗は成功につながることを理解しております。
未来を切り開く人財の育成に注力
当社にとって「人財」は最も大切な資産です。更なる組織力を拡充していくためには、適正に評価を行う必要があります。会社として、業務に対する個人の技術能力の評価に偏るのではなく、チームにおける個人の人間力もしっかり評価できる組織づくりを心掛けています。また、そのような効果的な人事評価を行う上でもDX化は欠かせないと感じております。これまで見えなかった一人ひとりの努力を可視化する作業でもあると同時に、お客様に対して正確かつスピーディーにサービス提供できる基盤になります。そのような改革の上に、さらなる人財投資が実現できると考えております。ゆくゆくは成長を求める社員には、できる限りその機会を創出し、会社として個人を最大限支援できるような仕組みを提供していきたいと構想しております。
社名のニッタタイヤは群馬県の新田郡に由来しており、曽祖父は地元の誇りを大いに抱き東京上野で勝負したことがよく分かります。そしてこの群馬の地は、北は降雪エリア、南は首都圏と、冬用タイヤと通常タイヤの両方の需要が高く、東西南北に事業展開しやすいというタイヤ専門商社の当社には最適な立地になります。これからも群馬の誇りを先代から受け継ぎ、自動車産業が迎える100年に1度の変革期に十分に備え、新しい挑戦をしていきたいと思います。