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「自己実現」する会社を掲げ、
ボーダレスに生きる

株式会社アルトスター
代表取締役

芳子ビューエル

群馬県高崎市出身。県立高崎女子高校卒業後にカナダに留学。ブリティッシュ・コロンビア州公立ダグラス・カレッジ卒業。Benndorf Vester Ltd.(現キンコース)に入社。同社の営業職としては初の女性採用となる。8年半のカナダ滞在を経て、日本帰国後、1989年に輸入商社である株式会社アペックスを設立。その間、JETRO(日本貿易振興機構)より、北米、北欧/ヨーロッパ、オセアニアに派遣される。2012年、アペックスはM&Aで東証1部の企業と資本提携し、2020年をもって同社取締役社長を退任。また、2006年に、株式会社アルトスターを設立。ライフスタイルプロデュース事業を展開し、現在に至る。

https://alto-star.com/

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「自己実現」する会社を掲げボーダレスに生きる

株式会社アルトスター 代表取締役

芳子ビューエル

Yoshiko Buell_プロフィール画像

群馬県高崎市出身。県立高崎女子高校卒業後にカナダに留学。ブリティッシュ・コロンビア州公立ダグラス・カレッジ卒業。Benndorf Vester Ltd.(現キンコース)に入社。同社の営業職としては初の女性採用となる。8年半のカナダ滞在を経て、日本帰国後、1989年に輸入商社である株式会社アペックスを設立。その間、JETRO(日本貿易振興機構)より、北米、北欧/ヨーロッパ、オセアニアに派遣される。2012年、アペックスはM&Aで東証1部の企業と資本提携し、2020年をもって同社取締役社長を退任。また、2006年に、株式会社アルトスターを設立し、代表取締役をアペックスと兼任。アルトスターでは、ライフスタイルプロデュース事業を展開し、現在に至る。

https://alto-star.com/

特許商品を主軸に業績好調

 2006年、コンサルティング業務に携わる会社として、株式会社アルトスターを設立しました。1989年に興した株式会社アペックスを経営していた頃、業務外でお客様からのご相談が増えたことから、こうした私の個人対応を仕事として正式に受注するための別会社を建てたのです。

 一方で、2012年、アペックスのM&Aに踏み切りました。その頃、アペックスは年商14億円になる規模の会社でしたので、経営者として舵をとるには、24時間、常に200%以上の力を出さなくてはなりません。私自身が家族の看護の問題を抱えたこともあり、自分の時間を確保したくなったのです。

 アルトスターは、当時アペックスとは異なり通販の業務をもたず、アルトスター独自の案件がまだ結果が出るには時間が必要だったこともあり、その責任もあって、私の活躍の場として残すことにしました。

 現在、弊社では、国際特許をもつドイツの機能繊維であるセル・ソルーション(Cell Solution@)の日本代理店として、温度調整機能の綿は主に寝具分野に。ビタミンEを持つ機能繊維は「衣料化粧品」の分野に原料を輸入販売し、技術指導も提供しています。繊維製品を化粧品として販売するという新たな試みは他社にない弊社独自の強みです。こうしたこともあって、幸い、業績は右肩上がりで好調を維持しています。

「自由」を基盤に、会社で「自己実現」!

  私は、2000年の頃、JETRO(日本貿易振興機構)より、企業誘致のため派遣されまして、世界各国トータルで36都市を廻りました。そこで、私の人生においても大きな意味をもつ「北欧のライフスタイル」と出会えたのです。

 例えばデンマークなどは、世界幸福度ランキングではいつもトップクラスにあがります。対して日本はもてる経済力の割には50位代とふるいません。何が遅れているかと考えた時に、ポイントとなるのは、個人、1人ひとりがもてる「自由度」の意識があげられるでしょう。一度、会社に入ったら、自分と向かないことがわかっても辞められない、キャリアチェンジして大学に通いなおすこともできない、こうした一度入った組織に縛られることが実に多いのです。それは、組織だけに拘わらず、年齢であったり、性別であったり、家族の役割であったり、日本社会全般にいえる問題です。

 この問題を反面教師にして、私はアルトスターを経営しています。社員個々の生活に合わせられるように、1時間単位での有給を認めたり、リモートワークを推奨したりしているのもその思いがあるからです。従業員は現在11名いますが、中には東京や千葉に住んでいて、リモートメインで、週2回ほど高崎の事務所に来る、といった人もいます。

 会社にいる時間を自分でコントロールできる人でなければ、活き活きとして成果をあげるという、本当の意味での社会的な活躍はできないのではないでしょうか。会社は、従属するのでなく、働くことで自分を豊かにする「自己実現」としての場なのですから。

「ボーダレス」な社会に馴染む高崎

 弊社の従業員には、元々帰国子女が多かったこともあって、緑が多く、しかも適度に都心に近い立地として、この高崎という所が歓迎されています。外国暮らしが長いと自然との距離が近くなって、より自然を身近に感じるようになる人が多いですね。私自身も、山や川が多い群馬県の自然が大好きです。

 私は、海外経験や仕事も含め、国や時間、組織、性別などの線引きを消し去る、「ボーダレス」な所で生きてきました。「東京」にいなければ仕事ができない、「地方」だから利益があがらない、そういった発想があまりでてこないのです。もちろん、工夫することは大切です。例えば、リモートは、今は当たり前のようになっていますけど、私は15年以上前から取り入れました。

 また、年齢など関係なく、常に新しいものを吸収しようと心がけています。最近では、生成AIを用いたChatGPTなどにも触れ、世の変化を実感しました。ただし、私の根底でゆるがないものもあります。それは、北欧で体感した「自由」です。私たちにとって大切なのは、形に縛られない、それも頭で考えるのではなく、自然と日常に馴染んだ自由なライススタイルをもつことです。高崎では、自由を前提にした「ボーダレス」な社会に十分適応できます。これからもここで、限りのない可能性を信じて未来を歩んでいきます。

 今年は、7冊目の著書「経営者のゴール」を出版し、都内にて講演会と出版記念パーティーを開催しました。数年前からずっと「経営者のゴール」や「M&A」に関する書籍を作りたいと思っていたので、念願の内容です。今後も支えてくださる皆さまに感謝しながら、多くの方のサポートに努めてまいります。